使える英語って?
よく「日本人は学校教育で長い間英語を勉強するのに話せない」と言われます。基本的な単語や文法は知っているのに、いざ会話となると簡単な内容であっても受け答えが難しい。つまり実用的なレベルで身についていないということになります。
では実用的な英語って何でしょうか?
大抵の場合、「会話においてコミュニケーションツールとして使える英語」を指すように思います。それには必ずしもネイティブレベルの完璧な英語力が必要なわけではありません。中学レベルの知識があれば日常会話ができます。もちろん複雑な内容の会話をするには高い英語力が必要ですが、難しい単語や複雑な構文が使えなくても、文法が間違っていても、海外のカフェで注文ができたり、外国人観光客に道を教えてあげたりといったコミュニケーションが取れること、それが実用的な英語だと私は思います。
そして会話によるコミュニケーションは音声で行われます。
「伝わらないし聞き取れない」というのは、英語の音声を認識していない状態です。英語の音に日本語と全く同じ音はありません。また、文章になると変化したり省略されたり、くっついたりと、様々な音の変化が生じます。文字を見れば分かるのに聞くと分からないのは、そもそも頭の中に英語本来の音がインプットされていないからです。
では英語本来の音でインプットするにはどうすればいいのでしょうか。
自分で発音できない音は、脳内で雑音として処理されます。だから英語を聞いても雑音のオンパレードになってしまい、聞き取ることができません。これはネイティブスピーカーにとっても同じことで、英語本来の音ではないカタカナ発音を聞いても瞬時に理解できない(=伝わりにくい)ということになってしまうのです。自分で発音できるようになること、それが「伝わりやすく聞き取りやすい」英語に繋がります。
ここで大事なのは、伝わる発音=ネイティブと同レベルの発音ではないということ。
例えば/æ/という音には特徴があり、その特徴をおさえた音が出せればいいわけです。仮にネイティブ発音を100点とするならば、70~80点くらいの音が出せれば発音において通じないことはほぼありません。もちろん100点を目指すのは自由ですが、高すぎる目標を設定してしまうと挫折することになりかねませんし、発音にこだわりすぎて喋れなくなってしまっては元も子もありません。
学校で発音は習わない
- とある女性がハワイへ旅行に行った時のこと。レストランで水を注文しようと思い、”Can I have some water?” と言いました。ところが何回言っても通じず、”water”という単語だけに絞っても分かってくれない。最終的に身振り手振りを加えてやっと水がきたそうです。その方は英語の先生でした。
- とある生徒さんのレッスン中。文章を読む練習をしている時、”light”を”right”と発音されたため、「今 “right”になっていましたよ」と言うと、一瞬怪訝な表情をされましたが、何度か自分で発音してみて「ほんとですね・・無意識にやってました。/r/の発音って英語っぽくてカッコいいから」と仰っていました。
- とある女性とお話したときのこと。その方は仕事で英語を使っていて発音もきれいな方なのですが、小学生のお子さんについてこんなことをおっしゃっていました。「息子が学校で英語の歌を習ってきて、家でも歌っているのですが、何回聞いても発音がめちゃくちゃなんです。」
発音をきちんと教わったことがある方はほとんどいないのではないでしょうか。
乳幼児期の子どもであれば、ネイティブ英語を聞いて耳から吸収することが可能と言われていますが、ある程度成長するとそれが難しくなります。また、発音に関する本や教材はたくさんありますが、自己学習の場合、自分の発音がどうなのかという判断を自分ですることになるため、無意識に違う音素で発音していたり、カタカナ発音に更なる変なクセがついて聞き取りにくい英語になってしまうことがあります。
目指す英語力とは?
一口に「英語力」と言っても、語彙力や文法力、リスニング力やスピーキング力、英作力などのスキルがあります。その総合力や各スキルのバランスによって、「使える英語力」が形成されていくのではないでしょうか。また、英語を身に付けたい理由というのは人それぞれです。海外でバリバリ働きたい人もいれば、趣味の範囲で日常会話を少し話してみたい、という方もいるでしょう。どのレベルを目指すにしても、発音力を基礎として身に付けておくと、他のスキルを伸ばすのにも非常に役立ちます。また単語や文法は使わなければ忘れてしまいますが、一度身に付けた発音力はほぼ落ちません。発音は勉強ではなくトレーニングだからです。練習すれば誰でも自転車に乗れるように、発音力はトレーニング次第で年齢に関係なく身に付けることができます。
実用英語を身に付けるには、発音力も大事な要素のひとつです。
あなたも一緒にトレーニングを始めてみませんか?